私が以前住んでいた賃貸アパートでは、私よりも二十年も前に入居していたおじさんがいて、あるとき突然夜逃げした。
モノもゴミも全て置き去りだったため、業者が来て全て撤収していった。
その際、私は偶然にも外で話していた大家と不動産屋の会話を聞いてしまった(正確には、トイレに入っていたら聞こえてしまった)のだ。
大家:「まったく、こんなにゴミを残していくなんてねぇ」
不動産屋:「いいじゃないの、何千万も儲かったんだから」
大家:「そうね、家一軒ぶんくらいは……」
大家&不動産屋:「アーッハッハ(大爆笑)」
つまり、おじさんは普通に家一軒建てられるだけの金額を大家に搾取され続けたのに、何も残ってはいないのだ。
大家の元には、そんなカモが私を含めて6世帯。
なんだか、自分の借りているアパートがタコ部屋に思えてきた。
いつまでも賃貸暮らしなんてしている場合じゃない。
気づいた以上、賃貸生活からは一刻も早く足を洗わなければならない。
なんとか不動産(持ち家)が欲しいと、不動産屋をめぐってみた。
しかし、家を買えるようなお金なんてなかった。日本の住宅はなんでこうも高いのか。とにかく、数千万ものローンを組み、一生働き続けるなんて絶対に嫌だった。
もう「どこかに物置でも置いて暮らそうかな」とヤケになったとき、光明が見えたのだ。
→不動産購入②に続く